第35回 邪道なんでしょうが,その邪道が農業に足りないんです!
“山形ガールズ農場”って聞いてまず最初に何を感じますか。僕なら「なんて“アザトイ”ネーミングなんだろう」、と思います。どうせ可愛くもない娘たちが、遊びの農業モドキをして、メディアに取り上げられて浮かれているんだろ!って思いますよね。昨年までは正解だったかもしれません。しかし、僅か1年で美人ではない娘3人は急激に生産者として成長していますし、今年の4月には新卒の新入女子社員が4名入社する予定です。単にアザトイだけでなく、農業生産法人として確実に実力を付ける努力をしています。
3年前に4Hクラブの全国大会で講演をさせていただきました。その時に山形県の代表として来ていた菜穂子が僕の口車に乗せられてしまい、一緒に戦いたいと言って国立ファームの契約社員として雇われ、一人山形支社長を務めていました。それから2年は付かず離れずの関係が続きましたが、昨年に農業生産法人国立ファーム株式会社の代表取締役として社長に就任させたんです。
菜穂子は山形の兼業農家の三女として育ち、一度は公務員になろうと横浜の大学に進学・卒業しますが、山形から離れて初めて山形や農業の素晴らしさを再確認して、山形の農業を盛り上げようと実家に帰り専業農家になった現在28歳で、身長170㎝ですが世間知らずの小娘です。
若い女子の専業農家であること以外は取り立てて特徴のない菜穂子に会社設立にあたって宿題を出しました。「付加価値のある農場」が「付加価値のある農産物を創る」です。菜穂子の回答は、男尊女卑の残る農業界で女子だけの社員で経営を成功させ、女子の農業進出を促進させるために、ガールズ農場と名付けて、女子だから出来る農産物を生産する。そして国立ファームのコネを使って、さらには女子というおじさんに可愛がられる立場を利用し、福島の古川勝幸さんに弟子入りして漢方米の生産方法を、宮崎の川崎徹さんに弟子入りしてミニトマトのトロ箱生産方法を伝授されて来ました。
結果として、漢方米は1㎏1000円、ミニトマトは1㎏1200円という高価格な仕入価格でも販売できる特別な商品になり、1年目から山形ガールズ農場は黒字経営になりそうです。
組織で勤めた経験の無い菜穂子がいきなり農業経験のない都会育ちの女子を二人雇って農業生産法人の経営をすることは無謀なことですし、一人も脱落しなかったことは奇跡的なことだと思っています。これは一重に菜穂子のご両親が二人の親代わりになって親身に面倒を見て下さったお陰でしょう。そしてもう一つ重要な要因がメディアの影響だと考えます。まだ地方メディアがメインですが、分かりやすい変わった農場として地元のテレビ・ラジオ・新聞で紹介して頂くことが出来ました。
山形では菜穂子は有名人だそうです。じきに全国に広がることが予想出来るので、一日でも早く足腰を鍛えておくように指示していますが、社員の足腰を鍛えるためにも注目されていれば頑張れるし、仲間が増えるキッカケにもなりますので、メディアは有効です。
菜穂子の最終的野望はガールズ農場を「農家の嫁の“虎の穴”」にすることだそうです。元気な農家には必ず元気な嫁がいる、ならば元気な農家の嫁を育てることが元気な農業にする方法論になるのではないか、と考えているようです。ガールズ農場を生産・加工・宣伝・販売を総合的にできる生産法人として成功させることで、そこで育った女子の社員たちが全国の農家から羨望される農家の嫁候補になることを夢見ています。
どうですか、独身の息子さんがいるお父さん、山形ガールズ農場を応援したくなりませんか?
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