第5回 しばらく、攻めるのは止めて「守り重視」で進みます!

東京・国立市に「農家の台所」というレストランと、自分たちにとって理想の八百屋をオープンした国立ファームですが、ここらで方向転換をすることにしました。 簡単に言えば、4月に蒔いた種が6月に芽が出始め、それをチェックしてみたら、思っていたような苗になっていなかったということです。「農家の台所」は現在、月に1,000万円の赤字が出ています。また、わずか16坪の八百屋でさえ、うまく回っていません。それらのダメな要因が、ようやく見えてきたのです。
スポーツで言えば、僕はまず先制攻撃を仕掛けるつもりでした。それがうまくいったら、「それ、行け!」とドンドン攻め続けるつもりでした。けれども、正直に言って、現状ではうまくいっていません。ですから、戦略を変えるんです。
要は、超攻撃型チームから、ひとまずは守備力重視のチーム作りに変えるんです。今は、領地拡大を目指すのではなく、とにかく、今ある領土をきちんと守ることを目指します。
僕は、自分の能力をベースに物事を考えていました。けれども、国立ファームの若い社員たちに、それを求めたのが間違いでした。
僕が、「とにかく戦地を広げよう」と走り続けた結果、各地がことごとく火ダルマになっていたんです。だから、「よし、全部オレがやろう」という思いが芽生え始めてきました。
……けれども、今回、僕はそうしません。僕が前面に出て、何もかもやってしまえば、おそらくうまくいくでしょう。けれども、それでは、国立ファームの若者たちが育たないし、すべての社員が僕に依存するようになってしまいます。このことは前の会社で経験済です。
もちろん、「勝ち方」ではなくて、とにかく「勝つこと」が大切だし、結果が求められていることはわかっています。それでも、僕の中には、「まだまだ大丈夫」という思いもあります。ですから今は、僕が指示を出した上で、国立ファームの社員たちに任せてみようと思っています。
現在、世の中の有象無象を鍛え上げるために、東京の国立に秘密の特訓場を作っているところなんです。今はまだ実戦に行けません。現在の国立ファームのスローガンは、「勝ちたがりません、しばらくは」です。
いつまで続くかは、まだ言えません。ですから、国立ファームは、しばらくの間、表舞台から姿を消し、停滞することでしょう。
けれども、油断はしないでください。しばらくの間は、戦場から撤退するけれど、これから地下にこもって、秘密のトレーニングに励みます。次に、表舞台に現れたときには、すごいことになっていることでしょう。
現状だけお話すれば、悲惨な状況に思えるかもしれません。けれども、これらのことは、僕にとっては、すべて予定通りなんです。僕にとって、
1.「まず動く」、そして2.「間違いを見つける」、その結果、3.「軌道修正をする」というのは、いつもの通りの「成功への道」なのです。
……負け惜しみに聞こえますか? けれども、僕は本気です。「楽しいことは必ず訪れる」、その思いがなければ、創業社長にはなれません。過信と努力は比例します。今は、美味しいビールを飲むために、ひたすらサウナに入って、ノドをカラカラにしているところです。我慢に我慢を重ねた後のビール。きっと、それは美味しいことでしょう。スポーツには、時間制限や回数制限があります。でも、ビジネスにはそれがない。何時間でも、何回でも、時間をかけて、勝つまで待てばいいんです。だから、しばらくの間、僕は動きません。
さて最後に、先月触れた北海道・沼田町の農場や食品加工工場の件ですが、現在のところ進める方向で動いています。けれども、先ほど言ったように、しばらくの間は人が育つまでは寝かせたいと思っています。
2007年9月号より転載

※この記事は『農業経営者』様より許可を頂き、
発売から1ヶ月経過した後に掲載しております。
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