第6回 さぁ、いよいよ「生産部門」が動き出します!
ここ数ヶ月、この連載では「商売人」としての僕の思いをつづってきましたが、今月は「生産者」としての思いをお話したいと思います。
というのも、国立ファームの生産部が、いよいよ本格的に始動しそうだからです。
この8月、国立ファームはそれまで「トロ箱栽培」の契約をしていた土地を追い出されました。正確に言えば、土地の所有者に対して、いろいろな迷惑をかけてしまいましたので、これからも良好な関係を続けたい僕としては、あえてこちらから手を引くことを決断しました。
生産場所がなくなる大ピンチです。早急に新たな土地を探すしかありません。さっそく、国立周辺の土地を探し、ダメ元で交渉してみると、合計2反ほどの土地が意外なほど安く手に入ることがわかりました。そうなれば、これはもう買うしかありません。僕はそれを「国立から離れるな」という神様からのシグナルと受け取りました。結果、ついに、国立ファームの本拠地を、地元国立に持つことができたのです。
さらに、もうひとつ大きな展開がありました。僕たちの目指す都市型農業において、トロ箱による「トロ箱栽培」は、国立ファームの大きな特徴のひとつです。
その「トロ箱栽培」において、強力なパートナーができたのです。新聞で僕たちが、この栽培方法に取り組んでいることを知った宮崎の生産者の方が、「私もトロ箱栽培に取り組んでいるので、何か相談があったらいつでも力になるよ」と連絡を下さったのです。
さっそく、うちの担当者を宮崎に派遣しました。その方の方法は、僕たちの方法とは全く違っていました。トロ箱を使うのならば水耕栽培のほうが労力も少なく、生産性も高くなるといい、その方は実際に90aを一人でやっているとのことでした。
トロ箱より一回り大きなベッド(溝)に養分の入った水溶液を流し、その上に穴の開いたトロ箱を置いて栽培することで、水をやる手間も減り、労力が大幅に軽減され、人件費の削減にもなるのです。その方はできた野菜を通常と同じ農作物として販売しているため、僕たちの理想とする箱売りに応用するには、まだしばらく試行錯誤が続くかもしれません。それでも、東京に自分たちの土地を持ち、トロ箱栽培の見込みも立ち始めたことは確かです。
さらに、1年前に農家に派遣させていた研修生がこの9月に戻ってきます。それまでまったく予定が立っていなかったのに、1年の時を経て、ようやく生産部門が形になり始めました。いよいよ、チャンス到来です。小さなことのように思われるかもしれませんが、これは国立ファームにとっては、大きな一歩なのです。
今回、契約農場がなくなるというゼロの状態に戻ることがきっかけで、国立に本拠地が見つかり、新たな栽培方法に切り替えることにつながりました。僕は「マイナス」は、考え方次第で、必ず「プラス」に変わるという思いを持っています。今の赤字続きの状況でさえも、ハングリーさを植えつける時期と考えています。ここで生産部門が一丸となってシステム作りに励むことで、事態は好転すると僕は思っています。
ということで、今の僕の気持ちとしては、「商売人」ではなく、「生産者」としての思いが、日に日に強くなっているのです。
さて、8月、9月は関東一円や山形など、国立ファームの契約農家の方々の所を回ってこようと思っています。次回は、そこで感じたことをお話できれば、と思います。
2007年10月号より転載
※この記事は『農業経営者』様より許可を頂き、
発売から1ヶ月経過した後に掲載しております。
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