7月 1, 2008

第15回 営業を他人まかせにしていませんか!?

Filed under: アグリの猫 — blog_admin @ 10:53 am

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国立ファームが初めて生産した新顔野菜「ソルトリーフ」を飲食店へ卸すための営業部隊(今年の新卒5人組)が、毎日飛び込み営業先に叱られて帰って来ています。ありがたいことです。飛び込みで野菜を売りに来るのに野菜のことをロクに分からないワカゾウを、他人様が鍛えてくださるのですから。

叱られる要因のワースト3は、3位―新顔野菜なのに基本レシピの提案や成分表示がない。2位―ソルトリーフが商品として安定していない(味・見た目にむらがある)。1位―生産量が安定していない(月によって生産量が極端に少なくなってしまう)。ご指摘いただけば当たり前のことなんですが、僕たち素人を相手にしてくれて、当たり前の事を叱って頂いていることを本当にありがたいと思っています。

もともとは飲食店への営業は考えていませんで、大卸さんや中卸さんへ営業をして簡単に売り捌いてしまう予定でした。楽をしようとすると痛い目に遭うのが世の常で、結果は散々でした。先行する類似野菜があまり良い販売実績を出していなかったのです。

決して野菜そのものの評価が低い訳ではないと思っています。新しくて見た目が面白い新顔野菜として多くのマスコミで紹介されたものの、まだまだマイナーメジャーの世界で、一般的には認知度が低く、レシピも開発されていないために需要が喚起されていなかったのです。結果、当初の良い評判を元に生産量を増大させたのに対して需要が急激には増えず、卸価格が下落している状態でした。卸業者さんからは「一過性の商品で日本には根付かないだろう」とまで言われてしまいました。

しかし、1年以上も自社のレストランと八百屋で先行他社類似野菜を販売してマーケティングしてきた僕の評価は違います。お客様に試食していただき販売してきたこの野菜はサラダ用の野菜としてキチッと多くのリピーターを獲得しています。さらには自社の看板野菜の一つとして集客に欠かせない商品になっているのです。

ここで僕は農業界の問題点を発見し、チャンス到来を感じました。流通業者の本来の業務は需要と供給の間で負荷なくモノと情報を流すことです。市場の卸業者さんは需要があって初めて仕事が始まるのです。営業は流通の業務ではありません、需要の喚起はメーカーの業務なのです。流通に販促を協力していただくことは大切なメーカーの能力ですが、主体はあくまでもメーカーであるべきなのです。なのに農業生産者はこの重要な業務を既存の勝手知ったる流通業者に期待してしまうのです。

そこで国立ファームは自社商品を消費者にまで自社で宣伝・営業する農産物メーカーになることの重要性に気付きました。自社で営業することによるメリットは多々あります。お客様に直接ご指導いただけることの次に重要なのが、一度信用いただけると他の商品にもご興味をいただけることです。実際にソルトリーフの取引から自社の扱う特選野菜の取引にまで広がっています。物量のない今は、自社便で配達していますが、飲食店で評判を高めてから一般市場流通に広めて行く営業が確実な販売方法なのではないでしょうか。

農業界はこの「メーカー」という言葉を「生産者」と置き換えることで、農業生産者の自立を妨げてきたのではないでしょうか。経営が出来る生産者は自己責任でリスクある「ものづくり」という営利活動を通して利益を求める生販一体のメーカーになるべきです。経営や販売の苦手な個人農家は、生産者の都合ではなく浪費者の都合をパートナーであるメーカーから指導されることで、生産者の付加価値を上げ、経済的評価を上げることができるようになるべきです。

2008年7月号より転載

農業経営者2008年07月号

※この記事は『農業経営者』様より許可を頂き、
発売から1ヶ月経過した後に掲載しております。
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