第24回 理屈じゃないんです!子どもは親の背中を“ぢぃー”と見ています
僕が国立ファームを立ち上げた頃は何故かカッコ悪い百姓ばかりに出会っていました。変化を嫌う百姓・補助金の計算が好きな百姓・息子に媚びる百姓・実は金に姑息な百姓・不動産を守るために生きている百姓・弱者に強い百姓・セクハラ百姓・他人を喜ばせる術を知らない百姓・そして百姓にプライドのない百姓。観察していて共通点がありました。彼らには農業という家業の担い手がいないことです。まさに現代農業が抱える大問題のど真ん中にいる人たちでした。
国立ファームが現在取引をさせていただいている農家さんは例外もありますが、
皆さん後継者問題に無関係です。農業を継いで親父に楽をさせている息子がいるか、楽になり息子を見守っている親父がいる人たちです。皆さんの多くは脱JA組か、新規就農組で経済的にも苦労をされた時期を過されて、ご子息もその苦労を見て農業を嫌っていた時期もあったそうです。
先日、『農業経営者』でも紹介された長野の信州ファーム荻原さんを訪ねました。長男の昌真さんは全国4Hクラブの会長も勤めながら耕作面積100haを目指して業務を拡大している若手の農業経営者です。お父様の慎一郎さんは、3人のお子様がまだ小さいときに事故で片腕を失くされても農業を続けてこられた苦労人さんです。そのお父様に「どうすれば、こんなに立派なご子息を育てられるのですか?」と訪ねると「オヤジの出来が悪いからでしょう」と笑って即答されました。カッコいいっスよね!ウダウダ語らず。
新潟県では最低収入を保証する制度を考えているようですが、保障されたから水稲を続けようとするような農家で子供は後を継ごうと思うのでしょうかね。
国立ファームで生き残っている50名の社員たちの動きが最近良くなってきたんです。親である僕の背中を子供である社員たちが観察しているんだなーと改めて感じさせられました。昨年の暮れあたりから僕の中に貧乏時代のハングリー精神がよみがえってきたからだと思います。それまでは国立ファームがどうなろうと僕だけは脱出カプセルを持っていました、それは会社を解散すれば僕だけは経済的に悠々自適の生活が出来るという意味です。10億円失えば、カッコ悪いけれども逃げ出す権利があると思っていたんです。本当にカッコ悪いっスよね! しかし今はアリエマセン! うちのカミサンも察して、言ってきました「アンタが何をしても止めないし、止めても聞かないんでしょうから、家だけは担保に入れないでね! 私たち(妻と子供2人)にも生活する権利があるんだからね」と。
資金残高1億円を切りましたが、生き残るために敢えて背水の陣を敷きます、追加資金は用意しません。残された資金がある間に単月黒字化にします、必要経費を必要と認めません。やっぱり僕は雑草です。ハウスも肥料も農薬もないほうが育ちやすいようです、気合で生き残ります。開店以来赤字だった「やおやのそうざいや」もカッコ悪いんですが閉店させました。パートさんにも申し訳ないんですが辞めてもらいました、弱者が綺麗ごとを言いません。
資金が豊富にあったことにより、僕をはじめ子供たちに精神的贅肉を付けてしまいました。幸いにして、こんな大赤字のダメ会社に見切りを付けず、寝食を忘れて結果を出そうとしてくれる子供たちがいます。
今、国立ファームの社員たちにオヤジとして背中で伝えなければならない一番重要なことは、苦難から逃げない姿勢、逆境のなかで妥協しない姿勢だと思っています。だから今の環境がオヤジとして最高の舞台なんです。人間の本心は上手くいかないときに現れます。
皆さんにもお見せしますよ!オレの本性を!!
2009年4月号より転載

※この記事は『農業経営者』様より許可を頂き、
発売から1ヶ月経過した後に掲載しております。
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