2月 1, 2010

第34回 社員の心に蒔いた種がポツポツ発芽し始めた4年目でした。

Filed under: アグリの猫 — blog_admin @ 11:48 pm

 10年程前のAV会社時代、会社訪問に東大生が3人で来たことがありました。話をしていると非常にバランスの良い学生で、とても東大を出て新卒でAV会社に入ろうという変わり者には見えないので、「君たちは自分の箔付けに来たね!」と問い質したところ、「バレちゃいましたか。今後の入社試験面接で訪問した企業を質問されるので、ウケ狙いで御社に来ました。」と悪気もなく白状するんです。僕は怒るどころか感心し切りです。「やっぱり東大はスゲーや!」目標を定め、傾向を探り、方法論を導き出してそのために些細な要因であっても貪欲に積み重ねる姿勢は、もう立派に闘う社会人そのものです。面接官にただ頭の良い真面目な学生ではなく、幅広い見識と知的好奇心が旺盛であることをアピールしたかったのでしょう。

 何故こんな昔の話をしたかと言いますと、国立ファームに来る社員は全員が準備不足なんです。働く目的は何なのか?もっと言えば、生きる目的は何なのか?すらも考えていません。当然、職場という戦場での生き残り方や勝ち方も想像していませんから、武器も持たずにサンダル履きで行き当たりばったりで戦場に入り込んできます。本来ならば士官学校とまでは望みませんが、兵学校で闘うための姿勢という種を蒔かれて、3・4年かけて発芽してから定植(入社)させたいのですが、今の兵学校(大学)ではその教育をしていないようです。さらに言わせてもらうと、「親の顔が見てみたい」と思うような足腰の弱い軟弱な子供を育てている親が多いようです。

 兵隊がいないから、士官がいないから、戦争が出来ないと言ってしまったら零細企業は成長しません。
なので国立ファームの創業期は兵隊作りの4年間でした。僕は社員たちを“虫けら”と呼びます。本能だけで生きている人間は虫けらと同じです。社員たちを虫けらから人間にするために無数の種を虫けらの心に蒔いて来ました。そして踏み固めて霜に当てて、除草剤や土壌消毒剤を使わず、たまに日光や水を与えて育ててきました。やっと三分の一の社員から小さな双葉が発芽してきて、虫けらから人間に、そして兵力に変化しつつあります。
“種”とは、“姿勢”のことです。“種を植える”とは“教育”のことです。姿勢という種は簡単に発芽しませんので、教育は時間と忍耐が必要になります。種を植えた土(人)がある一定の条件にならないと発芽しないからです。僕が埋め込んだ種という言葉に、実体験から感じた感情が重なることが重要なようです。

先日、新卒2年目の取引先のスーパーで青果の売り子をしている女の子から報告を受けました。寒じめホウレンソウの試食を出したお客様から「試食はいいわ。先日あなたが勧めてくれた小松菜が美味しかったから、あなたが勧めるホウレンソウなら戴くわ。」と言われて値段も聞かずに買って行かれたそうです。そして彼女から「信用されることの喜びを知りました。その信用を裏切りたくないので、高橋さんの言う“結果に拘れ”という意味が分かりました。これからは仕入課にドンドン厳しい意見を言って行きます。」……パッと発芽した瞬間を感じました。彼女の名前は10年後の社長候補リストに載せておきます。

今年は虫けらから脱却した兵隊を士官に昇格させるための準備をする年になりそうです。目的をしっかり見定めた兵隊は躊躇なく特攻して行きます。躊躇のない兵隊に敵の玉は当たりません。生き残る兵隊に経験を積ませ、僕が築いてきた兵法を教え込んだ士官が生まれてきたときの国立ファームはきっと皆さま生産者にとって最強の親衛隊になります。

年明けですので、国立ファームに期待していただけるような強気な発言をさせていただきました。

 

2009年2月号より転載

※この記事は『農業経営者』様より許可を頂き、
発売から1ヶ月経過した後に掲載しております。
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