第30回 土作りは最高の相続税対策だと思います!

僕の好きな言葉の一つが「家長」です。男子として生を受けた以上、最低限の義務は、家族を持ち、妻を幸せにし、子供達を将来独り立ち出来る真っ当な人間に育てるために、家族の家長を務めることだと考えています。

家長は絶対的な権限を持つべきです。そしてそれに相対する無限の責任を負わされます。ヤリガイはありますが、これを世代交代するまで守らされるのは結構シンドイですよね。

そんな「家長」を立派に勤めていらっしゃる農家さんを2日で13軒訪ねさせていただきました。きっかけは千葉県成田市にある㈱生産者連合デコポンさんの15周年記念の祝典にお招きいただいたことからです。社長の井尻弘さんは、弊社が大変お世話になっている有機生産者の斉藤完一さんのお弟子さんだったこともあり面識はありましたが、生産者から直の仕入れにこだわる弊社はデコポンさんとの取引はありませんでした。

祝典では一つ大きな収穫を得て帰って来ました。生産者として参加していたヤンチャそうな20代の若手グループを紹介されたのですが、彼らがとても面白い百姓だったんです。簡単に言いますと、よく喋るんです。こう言うと失礼になるかもしれませんが、初対面の人間にスラスラと話が出来る若手生産者とはなかなか出会えません。早速、唾を付けておこうと思い、農家の台所にお誘いして後日新宿で酒宴を開かせてもらいました。

13人の青年が来てくれたんですが、全員が自分の自慢の農産物を持参してくれて、それぞれが料理長やレストランのお客様に直接アピールする立派な営業マンまで務めちゃうんです。そのあと歌舞伎町のキャバクラでラップを歌って、女の子を口説いて、そして酔いつぶれて元気に帰って行きました。

世間の描いている青年農業者のイメージは、内向的で、おくてで一般的には真面目と言われる地味な青年。そんなイメージと180度違う若造百姓を育てた親父百姓に会いたくなり、成田周辺の農家さんを13軒訪ねさせていただいたのです。

結論から言いますと、現代日本に素晴らしい「家長制度」が残っていました。除草剤等を使わず、2町歩ほどの広さに草1本生えていないような管理された畑を案内して下さる家長のお父様が、雄弁にこだわりの生産方法を語ってくださいます。その後を、一切の言葉なく付いてくる息子がいます。生意気なくらいはしゃぎ、語りまくっていた青年が、親父の前では一切語らないのです。そして、一回りして帰ってくると、朗らかなお母様がお茶をご馳走してくださいます。お母様は時によりお父様より雄弁な場合もあります。

13農家13様で、作物・土作り・栽培方法はまちまちですが、共通点は各農家オリジナルの土作りにこだわり、多くの労力とお金をかけていることでした。親父さんに「土作りは最高の相続税対策ですね!」と失礼な問いかけをしてみたんです。以前、黒字会社の経営をしていた時、不思議に思ったことがあります。固定・流動に関係なく資産を持っていると税金が派生するのに、一番大切な人財は税金と関係ないんです。ならばと、人財の確保と教育に多くのお金をかけてきました。それと、土作りが同質に感じられたからです。ですが、皆さん全く意識されていなかったようで、キョトンとされていました。

僕の見識は偏っているのでしょうが、100軒以上の農家とお付き合いしていて、皆さんこの13農家のような家長制度のお手本のような生活をされています。農政が早く気付いて、彼らを応援する政策をしてくれれば農業は憧れの職業になれると思うんですがね・・・。ちなみに、この20代の農業青年13人のうち11人はもう立派に配偶者を獲得していました。

2009年10月号より転載

※この記事は『農業経営者』様より許可を頂き、
発売から1ヶ月経過した後に掲載しております。
『農業経営者』最新号のご案内はコチラ

Share on Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>