第53回 八百屋って難しくて面白い!農業の次に偏差値高いかも?

八百屋の2・3号店をオープンしてやっと5カ月が経ち、1号店もまだ1年経っていません。結果は予想通りに惨憺たるものです。レストラン部門は当初、話題性・集客力に関しては良かったものの素人経営で赤字の連続だったのですが、八百屋部門は単純に売上が立たないので赤字です。デパ地下に出店した「たまプラーザ店」と「渋谷店」は1日に20万円の売上を損益分岐点と計算したのですが現在は10万円を前後している状態です。

値引きとロスが売上低迷に引きずられて増えており、結果粗利率20%でテナント料と人件費(社員3名で回しています)と諸経費を足すと毎日3万円の赤字、1か月で100万円近い赤字が出ています。「二子玉川店」は同じく店員3名体制ですがスーパーの中の一角で農家の台所コーナーとして展開しているため青果卸として契約しているので、それほどの赤字ではありません。

負け惜しみではありません!だから始めた価値が有るのです。農業を始めた時と同じです。スーパーなら100円で買えるキャベツを苗木代だけで98円で買って手間暇かけても育てられなかったから、農業に興味を持ったのです。

簡単にできない仕事を選び、もがき苦しんで成長する自分や社員の姿を楽しみたいから農業に挑戦しているのです。難易度の高い農業という産業で成功するため、またその難易度を下げるために関連する青果販売も始めたのですから、その八百屋もそう簡単にできるはずがないのです。素人が始めて1年足らずで結果を出せるような職業を続ける気は毛頭ありません。「意外と面白いじゃないか八百屋」という気分です。

野菜のレストランを制覇して、八百屋・総菜屋を制覇して、青果卸を制覇して、足腰を鍛えて川下の環境を整えてから最難関の農業に本腰を入れることは、まさに“急がば回れ”ってことになるでしょう。初めからうまく行かないのは想定内として、ここから反省して改善案を立てるという大切な作業が始まります。まず気付いたことは、レストラン向けに特化した特選野菜の仕入体制は八百屋の仕入としては不備が多かったことです。特に旬でない基本野菜を欠品してしまうという問題点を抱えていました。

次に東京多摩地区に築いた地場野菜のネットワークは世田谷区や川崎市では価値がなかったということです。流通の問題で集荷翌日の販売になってしまうのです。これでは鮮度が売りの地場野菜として当然通用しませんでした。八百屋の改善策として、太田市場の買参権を取得して市場品も仕入を始めました。旬の果物や旬でない少量の基本野菜に利用しています。

地場野菜として川崎は川崎の篤農家さんを、世田谷は世田谷の篤農家さんの野菜を直納で鮮度良く販売していますが、まだまだ信用がない上にJAさんと取引ができないので件数的に苦戦しています。地場野菜のない「渋谷店」は超富裕層が多いため、自然栽培(無農薬・無施肥)の野菜を高価格で販売して売り場の差別化を図っています。

しかし商品力以上に問題なのが、八百屋としての基本的な売り方ができていないことでした。親切なプロの方々から教わる「土モノは土モノでまとめる」「隣の肉屋側の売り場には肉料理に利用されやすい野菜を並べる」「一つでも悪いものは陳列しない」「レジ前は小物強化」「小分け・カットをして選択肢を広げる」「量り売りとパッケージ商品は、確かな狙いを持って価格差を付ける」「枝付き枝豆は手間暇かかるので週末が良い」などなど勉強しなければならない八百屋の基本は無限大にありそうです。

どうですか?楽しそうに苦労をしているでしょう!結果が出ない中で努力を継続することは必ず自分を成長させてくれると確信していますから、実際に楽しいのです。

●高橋がなりTwitter⇒ http://twitter.com/ganari_t

●配信元:国立ファーム

※この記事は『農業経営者』様より許可を頂き、発売から1ヶ月経過した後に掲載しております。
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